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「円際」en/sai  2018

大自然の中に生きた彼らは、天空や海原から渦が起こり、渦が風を起こし、水を波立て、雷を起こすと肌で知っていただろう。
渦は、水や空気で「円転」がくり返し起こる大きな力である。渦が3次元として立ち上がると螺旋となり、「円転」は連続し人知を超えた大きな力となってゆく。人々はその様子から、身近な植物の細い繊維を捻(円転)ると、自然界の渦同様に強靭なものに変化すると気づいたのではないだろうか。
捻ることで強靭な縄が生まれ、弓の弦となって動物を狩り、縄で木材を強く縛れば頑丈な家屋が誕生したのである。「円転」はまるで魔法のごとく彼らに豊かな生活をもたらした。
人々は「円転」の力を「円」や「渦」という文様におきかえ、魔の障りを防ぐために顔や身体に呪文のように印し、土器や祭器には神聖な力が宿った縄をさらに回転、圧痕し、その力を移したのではないだろうかと感じた。

素材:麻、刷毛で彩色
せたがや生活工房(東京)